第4回ビジネス出版賞の最終審査と結果発表が行われました。
今回審査員を務めた4名より、総評とメッセージをお伝えします。
主催 スプリングインク株式会社 代表取締役/書籍編集者
城村 典子
本賞も4回目になって、これまで以上に充実した内容の企画や作品がたくさん集まるようになりました。
今回大賞に選ばれたのは、本人訴訟のトモさんの「『人工知能 × 本人訴訟』の融合で日本の裁判は飛躍的に発展する」という作品です。
今話題の人工知能チャットボットChatGPTによる情報革命に触れる内容で、時代の先見性が一歩抜きんでているということで大賞に選出されました。
この作品をはじめ、今回は全体的に時代への感覚が鋭敏な企画が多く、読み応えがありました。
とくに各部門の最優秀賞3作品は、どれも大賞に選ばれてもおかしくないレベルでした。
個人的に印象に残っているのは、ビジネス実用部門の最優秀賞に選ばれた、野呂一郎さんの「パンデミック期66の事例で読み解く、これからのマーケティングはこうなる」です。
世の中や人の心の変革期において、その変化を的確に表現している企画だと思いました。これが世に出たらすごく面白いと思います。
今回、奇をてらった企画はほぼ皆無で、自分の経験を通して社会に伝えたいことを表現した作品が多かったので、それらをひとつひとつ拝見するのはとても有意義な時間でした。
今回受賞に至らなかった方も、ぜひ諦めずに何度も挑戦してください。
自分の未来に向けての展望やビジョンを、作品にのせて思い切り表現してもらえたらと思います。
提携出版社 株式会社みらいパブリッシング 代表取締役
松崎 義行 氏
審査を終えて、今、充足した気分に包まれています。
すべての応募者の方に、お礼を言いたい気持ちです。
コロナ以降、ウクライナとロシアの戦争以降、世界はさらにどんどん変わってきています。
そのなかで、ひとりひとりが自分の人生をどう組み立てていけばいいのか?
そのヒントになるような企画や作品の応募がたくさんあり、大変読み応えがありました。
城村さんが仰っていたとおり、今回は最先端の技術や社会状況を反映した作品が多くありました。
出版社の立場からしても、そうした先駆けの内容の本を出版できるのは嬉しいことです。
次回の応募者の方には、自分の強みを思い切り表現してほしい、ということを伝えたいです。
粗削りでもいいのです。
整えて大事なものを失うよりも、ニュアンスや微細な動き、そうした息遣いを感じられるような状態で出してもらえたらと思います。
審査員はそれをそのまま受け止め、どのように世に出せば伝わるのか、一緒に考えていきます。
安心して、自分の経験や個性から湧き上がる社会へのメッセージを表現してください。
提携出版社 株式会社みらいパブリッシング 企画部
近藤 美陽 氏
回を重ねるごとに、どんどんクオリティが上がってきていると感じます。
すべての応募作を拝見しましたが、ご自身の人生に重ね合わせた企画が多かったため、生きざまを垣間見るような気分になりました。
読んでいてとても楽しく、自分の枠を広げることができたような気がします。
とくに印象に残ったのは、イノベーション・未来産業部門の最優秀賞に選ばれた、銀の人さんの「聴こえなくて話せない子に文句あんのか?」という作品です。
他の作品にはない、特別な心意気を感じました。
次回も、アッと驚くような企画に出会えることを楽しみにしています!
提携出版社 株式会社みらいパブリッシング 大阪本社 副編集長
東野 敦子 氏
今回、初めて審査に参加しました。
粗削りではなく、しっかり作りこんだ企画が多かったことに驚きました。
自分が何を伝えたらいいのか、ちゃんとご自身でわかっている方が多いという印象です。
それは、出版の過程でも軸になる大切な部分です。
どれも面白かったですが、とくに惹かれた作品は、ビジネス実用部門の優秀賞を受賞した倉岡真希子さんの 「ズボラ事務員、雑な整理整頓で残業を減らす ~ミニマルな職場で定時退社を促す “3つの切り札” ~」です。
こんまりこと近藤麻理恵さんを皮切りに、整理整頓の本がたくさん世に出ましたが、そのなかでも淘汰されずエッジを効かせることができる内容だと思いました。
内容を簡単に説明すると、家庭ではなく “ビジネスシーン”で役に立つ整理整頓であり、断捨離ではなく “捨てずに整理”する。しかも、ズボラでざっくりでもいいよ~という内容です。
コンテンツもわかりやすく組まれていたので、読みやすく広まりやすそうだと感じました。
次回も、こんな作品に出会えたらいいなと思います。
アドバイスとしては、「だからなんなんだ」というところをもう少し意識してほしいということです。
ネタやテーマを磨くだけではなく、もう一歩踏み込んで「これを読んだ人はこうなれますよ」「だからこれを伝えたいんですよ」という、読んだ人にどう役に立つかという部分を、最後まで書ききってほしいのです。
それができたら、審査員だけではなく世の中の多くの人に届くものになると思います。
以上、第4回ビジネス出版賞の審査員からの総評とメッセージでした。
今回、応募が間に合わなかった方も、今回の結果を踏まえて再挑戦したい方も、ぜひ次回の応募をご検討ください。
また、すべての受賞作は下記の結果発表のページをご覧ください。